量子論的連絡網

夕食を食べているときに電話がかかってきた。ついうっかり私が出てしまったのが悪夢の始まりだった。
「連絡網で回ってきたんですが『先日渡したアンケートは封筒に入れて出してください』とのことです。次の人へ連絡お願いします。」
「はい、わかりました。」
学校から何かアンケートをもらって来ているんだろうと思い(な)と(そ)に伝えると
「アンケート?何それ。そんなのもらってないよ。」
えーっ!何のアンケートかわからなきゃ次の人に連絡できないじゃないかっ!ということで連絡してきた人にコールバック。
「えーと、すみません。さっきの連絡のアンケートって何のアンケートでしたっけ?」
すると相手は予想だにしない恐るべき言葉を口にしたのだった。
「私も何のアンケートかわからないんですぅ…。」
「へっ?あ、そうですか。わかりました。」
これ以上返す言葉もなく電話を切る。私はパニック状態。
「次の人に『アンケートって何のアンケートですか?』って聞かれたらなんて答えればいーんだよ!『何のアンケートでしょうねぇ。ハハハ。』ってか?」
しかし(な)は
「そんなの真面目に考えたほうが負けなの!何も考えずにただ回せばいいの!」
さすが達観していらっしゃる…。
泣きながら次の人に電話。変な勘繰りを受けないようにいかにも「そんなアンケートなんて100年前からありますよ」ってな感じで平静を装って電話をかける。
「連絡網で回ってきたんですが『先日渡したアンケートは封筒に入れて出してください』とのことです。」
「えっ?アンケート?」
相手は一瞬小さな声でつぶやいたが次の瞬間には
「はい、わかりました。ありがとうございました。」
と何事もなく連絡終了。どうなっているんだ一体…。
こうして量子論的存在のアンケートは某小学校の連絡網を伝播しつつ、今日も何事もなく夜は更けていくのでした。